自閉症スペクトラムと人格障害

  親子や夫婦間の問題について取り組んでいると、時々問題の中心にいる人物が、果たして自閉症スペクトラムなのか人格障害なのか迷うことがあります。

 とりわけアスペルガー症候群については、伝統的な自閉症とは多少異なる特徴を持っていることや、コミュニケーション・社会性の障害の程度に幅があることから、正確な診断が難しく、人格障害と誤診されるケースも多いようです。

 アスペルガー症候群や高機能自閉圏の当事者との関わりが増えてくると、それぞれ抱える問題は違いながらも、ある程度の共通点は見えてきて、以前にも触れたように、人との関わりを避ける孤立型、一方的でしばしば不適切ながら人と関わろうとする積極奇異型、周囲の状況を先読みし自分を必要以上に抑えてしまう過剰適応型といくつかのタイプがあることが分かってきました。

 生育歴や現状況についての情報と心理検査や行動観察の結果に基づき、適切な判断がなされれば、人格障害と診断される可能性が少なくなるとは思います。私が相談を受けた患者さんの中には、アスペルガー症候群の可能性が高い人なのに他の病院で「あなたは人格障害だから、治療できない」と言われてひどく傷ついた体験を持つ人がいます。そのような不適切な診断や不適切な対応はあってはならないし、なくしていかなければならないと思います。

 しかしその一方で、高機能自閉圏でありながらも、本人の抱える問題が発達障害だけで説明しきれないときがまれにあります。

 DVやモラルハラスメントの被害者から語られる、加害者のプロフィールや代表的なエピソードを聞いていると、コミュニケーションの稚拙さや社会性の乏しさ、こだわりの強さという点では確かに自閉圏の問題は抱えているけれど、それ以上に反社会的な行動や道徳観念の乏しさ、自分は特別な人間(だから何をしても許される)という独特な特権意識など、どう考えても人格の著しい偏りがあるとしか考えられない人物像が浮かんできます。

 また、私が病院で面接や検査をした患者さんの中にも、虚言癖(平気でうそをつくが、決して認めない)があり、家族や周囲の人間を巻き込み思うように操作している人や、社会的な逸脱行為がありながら全く認めようとしない人など、対応の極めて難しい強者がいました。

 自閉症スペクトラムと人格障害の合併する可能性については、今の段階ではあくまでも私見にすぎませんが、症例数が増えれば増えるほど、見過ごすことのできない問題として浮かび上がってくるのです。

 このHPを見てくださっている方の中にも、私が書いていることに多少心当たりを覚える方がおられるかもしれません。それは決して偶然ではないと思います。学術的に十分な裏付けはありませんが、確かに

(1/2) Next»

大人の発達障害
Nov 17, 2006



Comments(388)|コメントを書く

List all categories
Recent Comments
About

このブログを友達に教える

コミュニティ

画面TOP↑


powered by cocolog