♪バブルの塔に住んでいる~

 金も名誉も手に入れたハリウッドスターが次の段階で出たくなるのは、自分の演技力を証明できるような映画、社会的メッセージを含んだ問題提起的な映画であります。テレンス・マリックの「シン・レッド・ライン」は本当にどうでもいいチョイ役まで大スターだったし、「マルコビッチの穴」も美男美女スターがわざわざブサイクな一般人役を喜んでやるというねじれたキャステイング。去年のポール・ハギスの「クラッシュ」も庶民のイザコザを描いた陰気な映画でしたがハリウッドスターがこぞって出たがったというじゃないですか。いわゆるジャリ向けカップル向けのポンチ映画では満たされない創作の喜びを演者に与えるような映画の需要も未だにちゃーんとあるわけですな。そんな「スターが出たがる映画」作家の新しい第一人者がアレハンドロ=ゴンサレス・イニャリトゥ監督(以下 AGI 保険会社のようだ)。彼のデヴュー作「アモーレス・ペレス」を見たのはエミネム主演の「8マイル」の撮影ロドリゴ・プリエトさんが「アモーレス・ペレス」のカメラマン(他に「25時」「アレキサンダー」「ブロークバック・マウンテン」と趣味の良すぎるチョイスが光る)だと聞き及んだからでしたが、見たらぶっ飛びました。ホームレスと貧乏人とアッパーミドルの三つの階層を犬と言うキーワードで並行的に描きながらアクシデントで交錯させていくダイナミックな展開。凄惨な暴力とペットへの愛情の不思議な共存。ナヨナヨしたところの無い豪快な死生観も新鮮だし、映像感覚もシャープでタイト。物凄い本格的な才気の登場を感じさせる大傑作でした。AGI先生はこの一作でメキシコを飛び出してハリウッド進出し、デルトロ、ショーン・ペン、ナオミ“アンチエイジング”ワッツとスター総出演の期待作「21グラム」を満を持して世に問うた。もののこれは私には明らかに失速に見えました。アイデアは「アモーレス・ペレス」の焼き直しだし、ストーリーも構成がゆるく詠嘆的でどうもクールネスに乏しい。底の抜けたストーリーも前向きな破綻と言うより、まとまり切らずに思わせぶりに見える範囲で投げ出したという感じで、とにかく感想が浮かばない映画でありました。ここで大分私のAGI熱は冷めたのであるが、三年振りの新作「バベル」はなんと日本が舞台になり出演した日本人の女優さんがアカデミーにノミネーションされていると言うことでワイドショーでまで取り上げられる話題ぶりとあってさすがに興味が湧いてきた。しかも公開直後観客がポケモン事件ばりのフラッシュ酔いを起こすという三面記事まで提供して話題宣伝は万全。が、感想は結論から言うと全く期待はずれであった。今作は中東と東アジアと北米の何のゆかりも無いはずの人々の運命が交錯しあって悲劇へと至ると言うお話なのだがこれがまたしても全く「アモーレスペレス」と同工異曲。メキシコシティー内で完結してて充分

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Aug 9, 2007




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