人間の性悪なり!(梶原一騎)

 かつてヨーロッパの映画がハリウッド映画以上に人気があった時代がありました。今でもオールドファンには名画=ヨーロッパというイメージは頑としてありますね。しかし最近ではヨーロッパの映画産業はすっかり衰退し、監督連中も出世作をモノにすると雪崩を打ってハリウッドに拠点を移していく。ハルストレム(スエーデン)、アメナーバル(スペイン)、ガイ・リッチー、ダニー・ボイル、スコット兄弟、ギリアム(イギリス)、ジュネ+キャロ(フランス)、ペーターゼン(ドイツ)。テレビ+マンガ育ちのオタクばかりのアメリカ人監督には不得手な大人向けのメロドラマや感動モノといういわゆる『良心作』を担当することが多いヨーロッパ出身の監督たちの中で、極めて異質な存在感を示していたのがオランダ出身の我らがポール・バーホーベン。私の彼との出会いは大学生の時に見た「ロボコップ」。当時出入りしてた劇団の人に「最近面白かった映画は?」と聞かれて「ロボコップです!」と元気良く答えた時の冷ややかな反応は忘れられない。ジャリ向けのポンチ映画かと誤解を受けていた「ロボコップ」は、実のところ警察の民営化によりスラム化した近未来都市を舞台にした警告的なお話。大企業に支配されて荒廃しきった街に、半殺しにされてサイボーグ化した制服警官マーフィーがロボコップとして降臨。マーフィーは記憶喪失の上体を勝手にガンダムみたいに改造されて葛藤するが、遍歴の果てに人間としての記憶を取り戻し、凶悪犯罪者と結託して防犯を利権化しようと目論んでいるワル連中を皆殺しにするという極めて今日的テーマを含んだハードバイオレンスSFでありました。ハリウッド上陸一発目に低予算のゲテモノ映画で大ヒットを記録し人気監督となったバーホーベン大先生は世間的には「氷の微笑」が代表作なのでしょうが、「スターシップ・トゥルーパーズ」「インビジブル」も大傑作。演出はアップテンポでありながら凡百のMTV出身監督とは違う職人的な手腕を持っており、どの作品もクライマックスは必ずアドレナリン全開で暴走する。なおかつビジュアル面のチャレンジ精神も旺盛で「スターシップ…」でのフィル・ティペットによるバグ軍団や「インビジブル」での透明化描写など、生理的嫌悪感を惹起するVFXシーンを作らせたら世界一。最新テクノロジーを駆使して人をイヤな気分にさせることに全精力を傾けるゆがんだ情熱が嬉しくなるじゃないの。のみならず「ロボコップ」以降は主人公をわざわざ観客にイヤがられるような性格に設定するのが毎度で、どころか登場人物全員が私利私欲だけを追うダメ人間ばかりという「ショーガール」なんて映画までありました。「ショーガール」でラジー賞を受けたバーホーベンはアカデミー賞と同日に行われるセレモニーに出席しスピーチまでしたと言うんだから完璧!と、充分好き勝手してるように見えるバーホーベン先生だがああ

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Jun 6, 2007




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