蛇の道はヘビー(近田春夫)イギリス産の犯罪映画といえば、私的には最近じゃガイ・リッチーの「ロック・ストック・&トゥー・スモーキング・バレルズ」が一番の成功例ですな。でも「ロック・ストック・・・」ももう十年近く前か。全然最近じゃないか・・・。暗黒街の群像劇なのにコメディーという大変新鮮な作風でした。そんな大ヒットシリーズも「スナッチ」でバブルの頂点を迎え、一躍オシャレセレブに成り上がったガイ・リッチーは気がつけばマドンナの婿になりチンピラ映画とはおさらば。だが婦唱夫随、公私混同、夫婦共演の新作「スウェプト・アウェイ」が歴史的大コケで映画作家としてはマドンナとの結婚は功奏しなかった。セレブ道は厳しい。対して、陰気なイギリスに取り残されたと見られてた「ロック・ストック・・・」組が、新ジェームス・ボンドに抜擢されたクールなハンサム、ダニエル・クレイグを主演にすえてリッチーなきあとも映画バカとしての健在振りを見せ付けたのが「レイヤーケーキ」である。「ロックストック・・・」シリーズはダメな若者4人が暗黒街の恐怖の親父たちの間をピンボールの玉のようにはじかれて転がるサマを笑う映画であったが、本作「レイヤーケーキ」の主人公はダメなチンピラでは無く、金にも女にも不自由しない切れモンの優秀なギャング。欲をかかず、仲間を大事にし、権力を抜かりなく警戒する慎重で仕事の出来る男である。この暗黒街の中間管理職とでも言うべき主人公の仕事は麻薬の卸。危ない橋を渡って蓄財した金を持って、ボチボチ引退しようと考える彼に同時に二つの仕事が持ち込まれる。ひとつは粗暴なヤク中が持ち込んだ素性の知れない大量のエクスタシーを捌く一攫千金の大仕事。もう一つはボスの特命で、スケコマシのチンピラに引っかかって行方不明になった不良娘(幹部の娘らしい)を探すという渡世の雑用。金儲けの方は乗り気でも、人探しのほうはとんと気が進まない風情の彼だが、ボスの命令は絶対。人脈をたどって件の娘を追い込んでいく。デキる男の彼にとってはどちらも造作の無い仕事のはずだったのだが・・・。大金をもたらすはずだったエクスタシーの方もモノは上ネタだがやばいスジから盗んだ盗品とわかり、本来の持ち主に命を狙われることになり、人探しの方も思わぬ横槍が入りさらに大きな陰謀に巻き込まれボスと対立することになる。彼は果たして、優秀な仲間と力をあわせて二つの事件を乗りきり大金を抱いて引退できるのか?という本作は、お話も映像も一貫してシリアスでスタイリッシュ。主人公は絶体絶命の窮地を知恵と機転で乗り切り、一本どっこで暗黒街を漕ぎ渡る度胸満点のデキる男という設定だが、演じるクレイグさんの怜悧なルックスは本作の世界観にバッチリとはまり、乾いた緊張感と大人の色気を映画全体にかもし出す。「ロック・ストック・・・」のテイストは残ってるけどもっと落ち着いた映画なのだ。諸行無常の響きが
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