1~6月面白かった本今更ですが今年前半読んだ本でおもしろかったものの感想など。
『ブルース・リー 李小龍の栄光と孤独』四方田犬彦(晶文社)
良く考えりゃ今まであんまり無かったアカデミック且つ詳細なブルース・リーの評伝兼分析書。売れっ子子役だった幼年期から彼の映画キャリアを説き起こしていく手順は丁寧そのもの。青年期の香港映画ではジェームスデイーンのような繊細な不良少年役が得意だったのだという。ドイツ系とのクオーターだった為に中国武術界では異物扱いされ、さりとてアメリカでもケンカの強いイロモノ俳優としてしか扱われなかった為に、成功を目指してド外れた自己鍛錬へと己を駆り立てて行くリー師父。精神修養へと変質していた中国武術を格闘技として解釈しなおし、次々と実戦向きの技術を取り入れる一方で東洋的な精神性を備えた武術映画作りを目指すという自己矛盾こそがリー師父の魅力。生意気なのか謙虚なのか?争いは好まないのか好戦的なのか?東洋的な神秘主義者か西洋的な合理主義者か?フィルモグラフィーを通して激烈な自己矛盾に満ちたキャラクターを分析する論調は説得力たっぷり。敵を倒した時のいわく言い難い表情にもいろんな思いが乗っているんだと思えば納得だ。「ドラ危機」以降の後期作品論では海外雄飛した中国人の運命に対する思いや、西洋との葛藤、女性忌避と唯我独尊的うぬぼれについての分析等々興味深い切り口ばかり。中国語圏のみならずアメリカ、ヨーロッパから中東でまでヒーローとなったリー師父。マイノリテイにとっては西洋人を倒す開放の象徴として、西洋人にとっては神秘的な秘法を駆使する武術の達人として、ともに絶大な人気を博すことが出来たのは彼が二つの文明の境界線上にいたからこそなのである。本書巻頭に引用されているアジア映画研究の大御所佐藤忠雄のリアルタイムでの頓珍漢なブルース・リー批判に呆れました。ヤナ奴だねえ。
『野中弘務 差別と権力』 魚住昭 (講談社文庫)
今じゃ四分五裂して息の根を止められてしまった感のある旧田中派の最後の輝きを支えた野中弘務さんの評伝。今や与党も野党も(総裁選候補は三人とも)二世議員ばっかりだが、野中さんは被差別部落出身という逆境(国鉄職員時代には差別事件の被害を受けている)から総理の一歩手前まで上り詰めたというド根性の人。「わしは肉食のハトや」という自己分析は余りにも有名であるが、強面の保守の領袖でありながら生涯反戦・反差別の人でもあったという「昭和の男」である。情報戦と人身収斂術で京都府議会で頭角をあらわし、絶対不利の状況から逆転でなんと57才で国会議員に初当選。自民党が野党になった細川政権下では池田大作証人喚問をちらつかせ創価学会の政教不分離振りを攻撃して揺さぶりをかけ、自民党の制御の効かないNHKの島会長(通称シマゲジ
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