風光る五月の庭 若緑がキラキラ輝いて風が光っている。花の季節が終わった若葉が輝く五月の庭は、一年でもっとも美しい。瑞々しさのなかに、新しい生命力が溢れている。そんな五月の庭が好きだ。
猫の額ほどの狭い庭も、この季節には広くみえるから不思議である。丸く刈り込んだ笠のよう枝をなん段にも重ねた柘植(つげ)の若緑は格別である。高さは3㍍ほど、幹からのびた枝は半球状になって、その先に小さな葉をつける。40年になるが高さは当時のままで伸びず横に張り出す枝も変わらない。葉だけが、毎年、新しい芽を出して新陳代謝を繰り返している。
年に2回、植木屋が枝の剪定をして形を整えるが、その跡に一斉に吹きだす新芽の美しさは圧巻である。正月前に形を整えるため剪定した葉が、五月になって一斉に若緑に芽吹く。
柘植の葉は対生で、丸くて硬い。材は黄褐色で極めて緻密のため、印材、版木、将棋の駒、櫛などに利用されている。高級品としての用途に限られ、将棋の駒も代用品が普及し、今ではプロの棋戦に利用される程度となった。ツゲ材の製品は高価で工芸品としの価値も出てきた。
その影響からか、高級な庭木とされ、垣根としてもっぱら利用されたものが、庭を引き立てるための中高木として珍重されるようになった。庭木用の低木性の「松」は格が高いが、狭い庭には不釣り合いのほか、形を整える手入れが大変なため柘植や槇がその代用として植えられた。
わが家の柘植も、そうした当時の流行から石材の門を飾るため、その脇に植えられた。いまは、そうした流行も廃れて、柘植の垣根は姿を消し、庭に植える家も少なくなった。半球状に整えられた梢に芽吹く若葉の魅力は格別である。
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