ある市立病院のパソコン騒動 首都圏の政令都市の市立病院で先月から、診療、会計事務処理にパソコン・システムを導入した。いわゆる電子カルテへのためだが、聴診器をマウスに変えた医師の戸惑いから診察時間が大幅にのびて、診察待ちに3時間もかかる大渋滞に患者からの不満が殺到する騒ぎが続いている。
診察、会計処理を能率化してスピードアップするパソコンシステムの導入が、裏目に出た。予約しながら、診察は3時間遅れ、医師はパソコン画面に目を奪われて患者と向き合う余裕もない診察に、患者の不満が増大している。
世の中はすべてパソコン化し、街の理髪店まで導入している。病院でも規模がさほど大きくない私立病院では3年前からパソコン導入に踏み切っているが、規模が大きく、予算の制約がある公立病院は、その実施が大幅に遅れた。
医師不足から退職したOB医師を嘱託医として応援を求めるケースも多いが、これらの医師はパソコン世代ではなく、不慣れなのが混乱を招いた。メスを執ったら難手術もこなす名医とされた消化器外科の権威も、パソコンのマウスは高校生にも及ばない。患者を診る診断は、正確で患者の信頼が厚いから、診察日には門前市をなすほど大勢の患者がかけつけ、予約もままならず、それに割り込むのにも大変である。名医の令名が高く、患者が押し寄せるので、定年退職後も自分が手がけた患者を見捨てられない、と医道精神から診察している医師も少なくない。
診察は医師と患者の心の繋がりと信頼が重要で、とくに高齢者の場合は、血液検査のデーターだけで事務的に診断したり、「お年ですから」と方付けられるのを嫌う。また、医師に訴えて話を聞いてもらうだけで満足する。主治医の一言で安心して元気になるケースも少なく、「医は仁術」という要素は根強く残っている。
たから、遠方から駆けつけたり、評判を聞いて新しく診察に訪れる者がふえて、OB医師は辞めたくても、辞められない。心が通わない医療の貧困を物語っており、自分の経験に自信があるから、検査や薬漬けにせず、患者の取れまく環境や病歴も熟知しているから、血液検査などの数値の微妙な変化にも「心配ない」と相手にしないので、患者も安心する。
パソコン診察の導入によって、診察が機械的、事務的になって、OB医師たちはパソコンとの対応に疲労困憊、患者との心の触れ合
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