10「ゴメン、ゴメン、いきなり入ってきたからびっくりしちゃった」彼女は少しきまり悪そうな目で僕を見ながら言った。
「いや、僕の方も君の仕事をじゃましちゃったみたいで」
「ううん全然平気、カウンターってさぁ、友達が来てもあまり話すことが出来ないの。それよりも私のこと嫌な奴だって思わなかった?」
「そんなの絶対思わないよ」と僕は言った。
「よかった」
「あのさぁ、できれば君のうちの電話番号を出れば教えて欲しいんだ。昨日理恵ん家に電話したんだけど聞きそびれてしまったんだ」
それは実際ウソだった。僕は昨日理恵に彼女の電話番号を教えてくれと頼んだのだが、理恵は“そんなものは自分で聞くものだ”と言って教えてくれなかったのだ。
彼女はポケットから1枚の紙切れを出しそれにボールペンで10の数字とハイフンを書き込んだ。
「月・水・金以外だったら多分家にいると思うから、ひまだったらかけてきて」
「うん」と僕は答えた。
「じゃあ私仕事があるから」
彼女は右手を左右に小さく振りながら小走りにカウンターへ戻っていった。
僕はその日マックを出た後、帰りとは逆の電車に乗り込み三宮まだ行き、東急ハンズでの文房具コーナーで茶色のシステム手帳を買った。今日は1990年の10月27日でそのシステム手帳には1990年度のスケジ
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