☆第4章 最後の夏休み☆ 第26話目次へ
待ち合わせの時間が
江東の花火大会の終わりと重なってしまったことがある。
いつもの、荒川沿いの道は
繁華街並みの人ゴミになっていた。
見つけてくれるかな?
不安になりながら、人の間から成田さんの車を探していた。
しばらくして、近づいてくる赤い車。
躊躇も見せず、私の目の前でピタリと止まった。
「すごいね。あんなに人がいたのに」
車に乗りながら、私が聞くと、
成田さんは車を発車させながら言った。
「僕は100m手前からでも、あなたを見つけられるよ」
そして、
「どんなにたくさん人がいてもね」
と付け足し、照れたような笑顔で前を見ていた。
100m手前きから、人ゴミの中の私を見つけられると言ったあの人は
もしかしたら知っていたのかもしれない。
私のこの気持ちが、箱庭のような守られた空間の中でだけ
成立するものだということを。
箱庭の中に彼を引きいれ、
さんざん遊んで飽きたら捨てればいい、くらいでいることを。
私もそうだと思っていた。
今がよければいいんだと、
先のことなんてよくわからないし、
それで誰も傷つかない、自分も、あの人も傷つかない。
そう思っていた。
成田さんが作ったあの水槽で
私は泳がされていると仮想していたあの日々。
でもそこから出たとしても
私の暮らす海は海に似た大きな水槽。
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