☆第4章 最後の夏休み☆  第25話

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「ちょっと混乱してるから、切るね」

もうあと数言でも
成田さんが発する言葉を聞くのは嫌で
私はそう告げた。

「はい」

成田さんはそれだけ言った。
じゃあまた後で、とも
続きはメールで、とも
そんな話は一切無く。
またいつもの、言葉にしない暗黙の了解みたいなもので
それで全てがおしまいと、
そんな空気があからさまにあった。

たとえ数ヶ月の、何の裏付けもない関係であったとしても
こんなやり取りだけで、ハイおしまい
なんてことは出来るわけでもないのに、
それでも成田さんはこれっきりにしようとしている。
それくらい私にもう関わらないようにしている。

手に取るようにわかる。
言葉よりも、全ては明瞭。
嫌になるくらいね。

言葉の裏に隠れている本音や状況
空気の間を漉くように読んできた数ヶ月。
そんななんの足しにもならないスキル身に付けてどうする?
こんな時に余計な空気を読んでどうする?

ちゃんちゃら可笑しいね。

私は電話を切った。
電話を切って、後悔も焦りも喪失感も、
何も見えないふりをして
鼻歌すら歌いかねない感じで家までの道を歩いた。

もう蝉は鳴いていない。
寝たのかな?

生暖かい空気が纏わり付くような熱帯夜。
とりあえず私も寝よう。

家のある高層タワーマンション群まで戻ってきて、
中庭に入ったら、背後でまた蝉が鳴き出した。


☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:

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最後の夏休み
2008/12/25




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