☆第4章 最後の夏休み☆ 第23話目次へ
2008年某日
成田さんとのことが全部終わって、しばらく経って、
私はタカキと別れることを決めた。
別居を決断するまで、
毎晩毎晩、話し合いと罵りあいと暴力の繰り返しだった。
「何度浮気されたって、見逃してきたじゃないか」
「また新しい男ができたんだろう?どうせうまくいかないよ」
「いつまでそんなこと繰り返すつもりなんだよ」
最後は必ず殴られたり、蹴られたり。
暴力で一日はようやく終わる。
顔も腕も足も青アザだらけ。
そんな嵐のような毎日の合間に、ふと流れる凪の時間。
いつものように、PCの方を向いたままタカキは話し始めた。
「去年の夏、何度も朝帰りして、携帯ばっかりいじって、
あの時絶対男がいたよな?」
私は答えなかった。
「別に責めてるわけじゃないんだ。
ただ、あの時のことだけは不思議で仕方ない。
怒られても、殴られても、“あともうちょっとだから、
数週間だから見逃して”って」
胸が痛かった。
何ヶ月経っても、あの時のことを思い出すと
キリキリ胸が絞めつけられる。
だから何にも言えなかった。
「適当に言い逃れしてるだけだと思ってたけど
お前本当に2,3週間で、ピタッと朝帰りも止まったし、
携帯見向きもしなくなったよな?」
頷いた。
不思議でしょうね。
ぴったりくる答えはきっと思いつかないでしょう。
自分の妻がどんな馬鹿げた恋をしていたかなんて、
想像もつかないでしょう。
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