ハイヒール効果まつこです。
来日したイギリスのプロペラという劇団の公演を見に行きました。男の役者だけで『夏の夜の夢』と『ヴェニスの商人』を上演しました。『夏の夜の夢』はマッチョで汗臭い体育会系学園祭みたいな雰囲気。『ヴェニスの商人』は監獄の中に設定されていて、閉塞された空間内での差別や暴力を描いています。その『ヴェニスの商人』で印象的に使われていた小道具がありました。ハイヒールです。
バサーニオという借金まみれの男が、金、銀、鉛の3つの箱から正しい箱を選び出し、超お金持ちのポーシャをパートナーとして得るという場面。もともとバサーニオを意中の人としていたポーシャは、バサーニオが正しい箱を選んだ瞬間、喜んで持てるものすべてを愛する男に捧げると宣言します。
「私のものはあなたのもの、この身も、この邸宅も、召使たちもすべてあなたのもの。」今回の公演で、ポーシャはこの全面服従宣言を、ハイヒールを片方ずつゆっくりと脱ぎ棄てて、腰をかがめて低い姿勢になり、下から上目づかいでバサーニオを見上げるように語ったのです。
これまでフリンジつきのショールを体に巻きつけ、10センチくらいのハイヒールをはいていたドラッグクィーン風だったポーシャが、そのショールとハイヒールを捨てたとたん、地味でさえない年増のゲイになってしまいました。へりくだった態度で、愛情と財産を捧げられたバサーニオは思わずひいてしまいます。こんなグロテスクな相手を自分はこれから愛さなければならないのか、という困惑が思わず顔に出てしまう男・・・。
バサーニオの自分への求婚は財産目当て、本当に愛し合うゲイの恋人は別にいることを察知し、ポーシャは知恵の限りを使ってその恋人から愛する男を奪い取ります。ライバルと競うのではなく、恋敵の命をすくい恩を着せることが恋の勝負に勝つ最善の方法です。この私が絶体絶命の危機を救ってあげたのよ。この大団円は私の手柄よ。あなたは今日からは私
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