年金世代間格差の欺瞞

 各マスコミはこの2、3日標記の話題で大騒ぎだ。見識を疑うが、どうもこの背景には、厚労省側の思惑があるらしい。要するにこの世論を煽って年寄りの年金を削りたいということである。それに乗っているマスコミのアホさ加減にも呆れるが、そうした記事を見出しにするとアクセスが増えるということなのであろう。

 私は現在の高齢者の年金額は多すぎると考えているが、少ない保険料しか払っていないのに生意気だと思っているわけではない。世の中になぜそういう議論が生まれるのか本当に呆れてしまう。

 よく考えてほしいのは、自分の保険料を預けてその運用益と元金で年金を受け取るわけではないのだから、「コストパフォーマンス」の議論は出てくるはずがないということだ。80年代頃から「子供を作ることのコストパフォーマンス」の議論もよく語られたが、こうした「知ったかぶり」評論家の罪は大きいといえるだろう。

誰でも考えることでは、インフレの要素が大きいが、単純にそれだけで各世代の生活の実相を量れるわけはない。

 例えば、75歳以上のほとんどの高齢者には親への仕送りというものがあった。給与自体も安かったし、自由になる金自体が僅少であった。電化製品もほとんどなかったのであり、映画をみることが唯一の娯楽だった時期もある。その中で負担していた保険料が今より負担率が低かったなどとはとても言えないのだ。

 更に89年から導入された消費税も年金財政に貢献している。現在65歳の人たちは45歳であり最も購買力があったから、最大の貢献者であった。

 このように既に一部税金が投入されている以上、世代間格差の計算などできるわけがない。何故このような欺瞞が行われねばならないのか、を問うべきなのである。盛山和夫のいうようにこの格差の是正には年金額の50%減などが必要だが、そんなことは現実にはあり得ない。であれば何のためにこのような「不満」を述べるのか、本当におかしな話しである。

 現在は「コストパフォーマンス」でなく、給付と負担の全体の調整だけを考えるべきだ。そういう意味では、消費税を上げることで負担を平準化し、高年金者には所得税の強化が必要だ。

経済・政治・国際
2009/05/27




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