10年先を読む長期投資「10年先を読む長期投資 暴落時こそ株を買え」澤上篤人 (朝日新聞出版) 2008年
評価 △
タイトルどおり、長期投資を勧める本。
まず、日本の金融資産の状況から話が始まる。日本の資産の50%以上が預貯金・現金で保有されているのに対して有価証券の割合は20%程度。つまり、投資よりも預貯金が多いことが明らかにされる。
次に、預金の意味が明らかにされる。預金者は、一方で預金利子という収入を得るが、他方では銀行や企業の経費や利益が含まれたコストを支払うことになる。これが間接金融の意味であるという。面白い考えだと思う。
そして、利回りの点から株式の収益率が高いことも説明される。1952年から98年の株式の収益率は14.5%、定期預金は5.1%である。ただし平均値ではあるが。
以上から、長期投資が勧められることになる。
では長期投資とは何なのだろうか? 5年・10年先を見通した投資であること、相場追いかけ型投資と違って株価動向だけでは投資はせず、企業の将来像を考えて投資するという。考慮されるのは企業の経営方針だ。だから経営者が交代して方針が変われば「縁切り」もあるという。
どのように投資するのだろう?まったく具体例がない。例は出しにくいのかもしれないが、あまりに理念ばかりで、投資方法として利用出来ない。ただ、いくつかヒントはある。「直接販売の投信」に投資すること、付加価値(企業の経常利益と経費の2つの部分をすべて足したもの)分析を使って伸びる会社を見分けること等である。
この著者は「さわかみファンド」を実際に運営してかなりの実績を挙げていると聞いている。だから、自分の投資方法に何か取り入れるものはないかと読んでみたが、参考にはならなかった。実際に知りたかったら「さわかみファンド」に投資しろということかな。
また、「株を買うという行動は経済の現場に資金を投入することであり、・・・」(82ページ)という現場とは何なのだろうか?新株を購入する場合を除けば株の購入は単に所有者が変わることしか意味しない。資金は企業には行かないのだが。
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