2009年11月14日、立教大学ラテンアメリカ研究所の主催で「民主化・内戦後の司法に課せられるもの」という講演会が開催された。講師の大串和雄氏は、東京大学法学部教授であり、長年ペルーのフジモリ政権下における人権侵害の問題を訴えてきた。(資料2を参照のこと)
今回の報告会では、前半では「移行期の正義の歴史的展開」についての解説が行われた。ラテンアメリカにおける過去の事例、そして現在の平和構築という流れの中で、ラテンアメリカでは中心であった訴追という方向から、訴追ではない方向を探る流れが広がっているという。そこには状況の違い、脆弱な国家や、紛争が継続している状況などを踏まえる必要があるという指摘であった。(資料1など)
次に、ラテンアメリカにおける過去10年の訴追の進展について解説があった。ラテンアメリカでは強制失踪に対する時効の否定や(チリ・メキシコ・ペルー・ウルグアイ)、恩赦法の廃止・無効化(アルゼンチン、ペルー)などの動きが見られるとのことであった。ラテンアメリカではやはり訴追への強い意志が存在するということなのであろう。但しウルグアイでは最高裁が恩赦法を違憲とする一方で、10月26日に恩赦法を無効化する国民投票が僅差で敗れたとのことであった。
最後にフジモリ裁判の動向に触れ、裁判では有罪判決が確定したものもあるとのことであり、特に重要な人権侵害事件である、バリオス・アルトス事件及びラ・カントゥタ事件に対しては既に禁固25年の有罪判決が下されており、現在上訴審に入っているとのことであった。(フジモリ政権下の人権侵害については資料2、最新のペルーの状況などは 資料4)
講演会で紹介された参考文献
1:大串和雄 「罰するべきか許すべきか-過去の人権侵害に向き合うラテンアメリカ諸国のジレンマ」<研究ノート>『社会科学ジャーナル』国際基督教大学 第40号 1999年2月
下記サイトから11月18日正午までダウンロード可能
http://www.rikkyo.ac.jp/research/laboratory/ILAS/koenkai_html/koenkai.html2:「フジモリ元大統領に裁きを-ペルーにおける虐殺の被害者に正義を」現代人文社、2004年
3:大串和雄「ペルーにおける人権運動の考察」(一)、(二)『国