Mのこと。先だってアップした記事『一寸先でひっくり返る』で、最後に「この話には“前ふり”がある」と書いた。それについて書こうと思うのだが、少々気が引ける。他界した同級生Mのことに触れなければならないから。実は、車にぶつかった日の午前中、オレはMの葬儀に参列していたのだ。
Mとは小学校からの付き合いだった。中学校時代にはよく遊び、仲間と家へ遊びに行ったこともあった。高校が別々になってからは疎遠になってしまったが、社会人になってからは、時折駅のホームで顔を合わせ、電車の中で近況を語り合った。オレが勤めていた会社は9時始業だったが、寝坊して、いつもの電車に乗り遅れることがよくあった。そうすると、9時30分始業の会社に勤めていたMとよく会ったのだ。「何だ、また遅刻か」と笑われたものだった。
そのMが交通事故に遭ったと聞かされたのは、社会人になって2、3年経ってからのことだ。意識不明で、かなり深刻な状況だと聞いた。それ以来、Mはオレらの前から姿を消した。伝わってくるのは「意識不明のままC病院(地元で最も大きい病院)にずっと入院しているらしい」という“ウワサ”のみ。彼の家に問い合わせれば正確な情報がわかったのかもしれないが、そうするのは気が引けたし、何よりも、そんなことをしていいのかどうかが、判断できなかった。
そうこうしているうちに、Mのことは、いつしか“過去の出来事”の一つになってしまった。だから、2月11日の朝、同級生のTから「Mが他界した」との知らせを受けた時、何だか不思議な気持ちがしたのだ。そして「長かったよなァ」とつぶやいてしまった。
知らせを受けた時、オレは東京へ向かおうとしていたところだったので、お通夜には行けず、翌朝行われた告別式に参列した。「同級生の方ですね?」——斎場でMのご両親に声をかけられた。そして、これまでの状況を、ようやく伺うことができた。地元の病院にいたのは事故直後だけで、あとはずっと千葉市の病院に入院していたそうだ。事故を起こしたのは26歳の時。以来21年間、意識は最期まで戻らなかったが、家族の呼びかけには、微かに反応したとのこと。また、直接の死因は事故ではなく、病気だったことも知った。オレは、見舞いにも行かなかった非礼を詫びた。
「会ってやって下さい」と言われ、オレは棺に横たわるMに再会した。遺影のMは若く元気な姿だが、横たわっているMは当然ながら中年になっており、髪には白いモノが混じっていた。しかし、本当に眠っているようだった。
オレは出棺を見送って斎場を後にした。
そして、その日の夜に、オレはクルマにぶつけられたのである。
後日、同級生仲間と顔を合わせた際、葬式に行ったその日のうちに事故に遭った
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