デーモンシステムを使わない理由最近患者さんから『デーモンブラケットを使ってますか?』と聞かれることが時々ある.そんなときは,『デーモンなどは使ってません.もっと良いのを使っています』と答えることにしている.なぜ患者さんにブラケットの種類まで聞かれるようになったか?東京の某ドクターが仕掛けたと言われる読売新聞への広告(2005/5/22, 2004/11/22)であることは間違いないと思われるが、デーモンがそんなに良いものとは,私には到底思えないのである.
『ある特定のブラケット(デーモン)が歯の移動を早めたり,痛みを軽減するなどというデータを私はみたことがない』 ライル=ジョンストン(ミシガン大学 早期治療シンポジウムにおける講演で)
『私が今から言うことを皆さんよく覚えておいてください.デーモンブラケットというのがあるでしょう.今から2−3年もすれば,消えてなくなるでしょう.ブームというのはいつの時代もあるものですが,矯正学の原則は変わらないのです.』 トーマス=マリガン(メカニクス理論で有名なフェニックスの矯正歯科医 コモンセンスメカニクスのセミナーでの発言)
『彼は,デーモンを使えば筋肉によって歯列が後方に動くと言っているんだよ.でもそれはないでしょう.』ウィック=アレキサンダー(テキサスの高名な矯正歯科医,ベイラー大学 筆者との会話)
私は,デーモンシステムのコンセプトであるライトフォース(弱い力)・ローフリクション(低摩擦)というのが、歯の移動にとって効率的であることには全く同意する.しかし,セルフリゲーティングブラケット(結紮線を使わずに,ブラケットに組み込まれたキャップでワイヤーを固定するタイプのブラケット)だけが,そのようなコンセプトを実現するということではないし,むしろセルフリゲーティングの欠点も多い.特にデーモンブラケットはパッシブセルフリゲーションと言われるタイプで,これの問題点はトルクコントロールがしにくいということである.すなわちすべての歯は与えられた既製のアーチフォームに傾斜で移動していく.デーモン先生によると,ライトフォースだから筋肉が押さえることで歯列が後方に広がりを見せ,まるでリップバンパーの効果のように歯が並ぶとおっしゃっているが,彼の症例集(DamonSystem The Workbook; Dwight Damon著,星野亨,荒井一仁訳,オームコジャパン刊)をみると,残念ながら前歯がフレアしているケースが非常に多い.実際,彼のケースはコーケジアンで前歯を前方にフレアさせても許容範囲内なのだが,アジアンフェイスでこのように歯を動かすと口元が突出してしまうだろう.この前歯のトルクコントロールこそが日本人で非抜歯治療を行うときに最も難しいポイントだとおもうがこれをデーモンブラケットでコント
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