民の心ー上に立つ者への戒め

韓国ドラマ「商道」(サンド)が終わってしまった・・毎日(月ー金)の放送を録画して楽しんでいたのだが。主人公イム・サンオクという少年が父の叶わなかった通訳官の夢を目指して懸命に勉学に勤しみ清国語も体得すべく励んでいたが、父が商いを始めるに至ってその手伝いをする過程で父が誤って殺されてしまう。これを機に彼は通訳官の夢を諦め一流の商人になるべく様々の障害を乗り越え、頭角を現しやがて朝廷の信頼も得て朝鮮商業界のトップにまで登り詰める出世物語だ。

物語の中で主人公イム・サンオクがここまで出世するに当たって心がけた三つの誓い
1.民を愛する心を決して失わない。
2.一流の商人とは財を築くことではなく立派な人材を育て残すこと。
3.名誉やその他の欲望を断ち切ること。
に非常に心を打たれた。

昨今汚職、偽装その他生臭い事件が相次いでいる中で重責を担う人たちが平然と評論家的発言をする例が後を絶たない。偶々兼好法師の「徒然草」に次のような含蓄のある言葉が書かれていた。
「盗人を縛って悪事ばかりを罪するよりも、世の中の人が飢ゑたり凍えたりすることのないやうに、世の政はとってほしいものだ。誰でも生活にことかかない程度の財のない時には、善心を保ち続けることができない。誰でも困窮したあげくは盗みをする。世の中が治まらなくて、凍えたり飢ゑたりする苦しみがあると、罪人は絶えるはずもない。人を苦しめ、法を犯させるやうにしむけておいて、それを却って罪に陥れようとするのは、かはいさうなしわざだ。
それなら、どんな方法を以て人に恩恵をほどこさなくてはならないかといふと、上に立つ人が贅沢をしたりむだ費ひをするのをやめて、民を大事にして農耕に勤ませたら下々の者に利益のあることは疑ひのあるはずのものでない。衣食が世間の人と同じようにやっていけながら、その上悪事をするような人間は、真の盗人といっていいのだ」
(吉田兼好 徒然草 第142段、今泉忠義訳 角川文庫)

現在の飽食の世の中では飢えに苦しみ凍える人は法師の時代ほど居るはずもなく今時に合わぬ箇所もあるが1ヶ月40時間しか使わない公用車をふんだんに抱え、年金処理は杜撰きわまりなく、聖域にある教職員の賄賂三昧、或いは浜の真砂に近い偽装食品事件などを見るにつけこの国では上に立つ人で「民の心、苦しみ」を本当に理解している人が居ないのではないかと思わせるばかり、是では真面目に生きている民は浮かばれない。兼好法師の言葉をこの人達に聞かせたいものだ。 

Oct 9, 2008




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