迷霧の陥穽 第一話庭先に吊られた風鈴は、早朝に数回揺れただけだった。青と赤の色が、渦を巻くような模様が入ったガラスの笠は、如何にも涼しげな印象を受けるが、それとは対照的に気温は上がり続けた。
僅かな風を取り入れようと、家中の窓という窓は全て開け放たれていたが、その殆どは無意味に終わっている。
「あぢぃなぁ」
半袖のシャツに、七分丈のズボン。京平は、茶の間に置いてある扇風機の前でぼやく。
人工的に作られる空気の対流はあるのだが、生暖かい風しか届かない。額を伝う汗が、その風で後方に向きを変える。身体にまとわりつくシャツが、不快に感じた。
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