『風の中のマリア』 百田尚樹
2009年、83冊目。百田尚樹『風の中のマリア』
一切、人間が出てきません。でも十分、面白い。
単に昆虫を主人公にして、人間のドラマを語ろうというのではありません。
あくまでオオスズメバチの生態をわかりやすく説明する方便として、擬人化を試みているというような感じです。
オオスズメバチの世界の様々なドラマ、そして知られていない数々の生態。十分に知的好奇心を満足できる作品ではないでしょうか。
初秋に産まれたオオスズメバチ(ヴァスパ・マンダリニア:Vespa mandarinia)のワーカー(ハタラキバチ)のマリアは「疾風のマリア」と呼ばれていた。
羽化したマリアは30日ほどの短い命を毎日狩りに出ることで過ごす。狩りは危険が多く、仲間も次々と帰還せずに死んでいき、巣の中で命を落とすものは少ない。
メスでありながら卵を産むこともなく、恋もない生活は他の虫からは不審に感じられ、問われるが、それは遺伝子(ゲノム)の求めるところだった。
血縁選択によるゲノムの維持において、自身の子どもよりも妹を育成する方が遺伝子を残すうえでは効率が高いのだ。
女王バチ、アストリッドのもと、アストリッドの帝国の繁栄に向け、妹の
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