「畑からチッソを除去してくれた害虫の話」

「現代農業」という農業の雑誌がある。2006年10月号にはこんな興味深い話が載っている。

徳島県の福徳さんは露地で五反ほどブロッコリーを作った時に、ある有機肥料を散布してブロッコリーを蒔いた。ところが計算ミスで肥料が足りなくなり肥料が撒けない所ができた。
ところがやがて肥料を撒いた所には青虫が大発生し芯まで食い尽くしてしまった。
一方、無肥料の所には虫が一匹も付かずきれいなものだった。
食べるものが無くなった青虫は移動を始めたが隣のきれいなブロッコリーを食害することはなく、周囲の水路に行列をなして殺到し、全部が溺死してしまった。
その後、福徳さんは虫に食べられて全滅した跡の場所に恐る恐る同じアブラナ科の野菜の種を蒔いてみた。
すると今度は虫が全然来なくてきれいな野菜だった。
一連の出来事について福徳さんは考えた。
何故肥料を施した所だけ虫が来て、肥料を施さなかった所には来なかったのか?
何故虫が食べて全滅した野菜の跡に蒔き直した時には虫が来なかったのか?
福徳さんは言う。
「虫はナ、自然のバランスからズレたチッソ過剰の土地に生えた作物だけを狙うんじゃ」。
自然はバランスのズレを絶対に許さない。だからブロッコリーを軟弱にして虫に食べさせ、過剰チッソを畑から除去しようとしたのだと。
その後、虫がゾロソロと他へ移動したのも
「もし、その場で餓死していたら、せっかく虫が吸収してくれたチッソがまた同じ地面に戻ってしまう。それではこの畑は永久にチッソ過剰から抜け出せないからじゃ」。
自然のバランス調整能力は、あまりにも完璧だという。
「もしあの時、農薬で虫を殺していたらバランスは回復せず、この畑は相変わらず窒素過剰で害虫が多発する畑のままだったろう」。
「自然には無駄なものは何もない。必要だから青虫がついたのだ。それを人間の力で何とかしようとすれば、根本の解決を遅らせるだけだ」
今でも虫や病気が来たら
「あれこれ迷わない。自然に任せる。それが最も解決が早い」と福徳さんは言い切るそうだ。

私はこの記事を読んで感激したものだ。自然のバランス調整能力の完璧さに感動すると共に、ここまで自然の力に任せ切ることができることに尊敬の念を抱く。


2009/04/06




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