54 五里霧中そして四面楚歌ひどく消耗した感じの須賀を、伊能と土岐が両脇から支えて車から降りた。
「万全、おまえは女を連れてくるのに付き添ってくれ。俺たちは先に部屋に行ってる。須賀さんは早く横にしたほうがよさそうだからな」
伊能の言葉に万全は少し不満げな表情で肯いた。
おそらくレッドと呼ばないことが不満なのだろう。
「わしは大丈夫……」
そう言う須賀は一気に年老いたように見えた。
伊能と土岐は思わず顔を見合わせた。
そして二人で須賀を抱え、部屋に向かった。
須賀の部下たちが拳銃を引き抜き、YUKIを入れた車のトランクに集まるのが見えた。
部屋に入り、嫌がる須賀をなだめて布団に横たえた。
乱暴にドアが開かれ、髪を振り乱した万全が飛び込んできた。
小さな目が極限まで大きく見開いている。
「き、消えた!あの化け物女が消えちゃった!」
伊能が万全の腕を力一杯握り締めた。
「どういうことだ?ちゃんと説明しろ!」
「わかんないよ! 開けたらいなかったんだ! トランクは内側から開かないのに……今みんなが探してるけど……やっぱりあいつはお化けなんだよ!」
3人の男たちが入ってきた。
全員がひどく緊張した顔つきになっている。
それぞれの手にはしっかりと拳銃が握られていた。
「女が消えました。自分らは護衛のため戻ってきましたが、ほかのものが今探しています」
「内側からこじ開けたような形跡はないんですか?」
伊能に男たちの一人が首を振った。
「全くありません。そんなこと絶対に不可能な作りなんです。車自体特注品ですし、まあこういう使い方もあるということは想定してますから」
「ちょっと俺に見せてくれないか?」
土岐の言葉に男が訝しげな顔をした。
「見るって、トランクですか?」
「ああ、頼みますよ」
男たちが顔を見合わせていると、須賀がよろめきながら起きてきて一喝した。
「言われたとおり土岐さんをお連れせんかい!」
慌てて男たちの一人が土岐を連れて外に出て行った。
須賀はぐったりとソファに座り込んだ。
「あの女に逃げられると、わしらも打つ手がありませんな……」
「……そうですね。しかしいったいどういうことなんだろう?」
伊能も頭をがりがりと掻きむしった。
「希君にも、もう無理はさせられません。いま、休んでおりま
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