36 誕生「我々はセイギの戦隊ですじゃ。それならば、それにふさわしい戦隊名を持つべきだと希君は言っておりますのじゃ」
伊能は慌てて須賀の言葉を遮った。
「ちょ、ちょっと待って下さいよ。それってナントカレンジャーとかナントカライダーみたいなやつですか?希君は子供だからいいけど、俺たちいいオッサンですよ。そんなの表で裸踊りするより恥ずかしいですよ。ねえ……」
同意を求めて土岐の顔を見た。
土岐は伊能を見ていなかった。
煙草をくわえニヒルな表情のまま、涙を滝のように流していた。
「と、土岐さん?」
「いいじゃねえか。希君の気に入るようなかっこいい戦隊名を考えようぜ」
土岐の答えに、万全と二宮も嬉しそうな顔をしている。
「マジかよ……」
伊能が黙り込んだのを見て、須賀が全員に紙を配った。
「そこに皆さんの考えた戦隊名を書いてくだされ。その中から選びましょう」
伊能は目の前に配られた紙を見つめてしばらく放心した。
皆熱心に何かを書いたり、考え込んだりしている。
須賀まで目をつぶって腕を組み考え込んでいる。
伊能は仕方なく、乱暴にいい加減な事を書きなぐった。
ペンを置いた伊能に続いて、一人、また一人とペンを置いた。
なぜか書き終わった全員が紙を裏返しにしている。
全員が書き終わった様子を見て、須賀が紙を集めホワイトボードに書き写し始めた。
みらくる戦隊 ぽよよんじゃー
「万全だ」「やっぱり変態だ」の声に、万全が真っ赤になってうつむいた。
東京防衛戦隊 守るんじゃー
大東亜絶対防衛連合須賀一家
「須賀さんだよ」「爺さん、しょうがねえな」の声に、須賀は聞こえないような顔をしていた。
透明戦隊 キエルンジャー
「二宮だ」「消えるのはお前だけじゃねえか」
二宮は消え去った。
希君と東京を守る会 愛ナンジャー
「誰?」「まさか土岐さん?」
土岐は無表情に煙草をふかしていた。
脱毛戦隊 ヌケルンジャー
「い、伊能さん!」
万全が顔を怒りで赤くして飛び上がった。
須賀は素知らぬ顔で最後の一つを書いた。
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