カッファエンジン研究所報7

 アメリカの自動車産業の危機が声高に叫ばれている。どうしてこんなことになってしまったのか、当研究所としても考えてみた。唐突な印象を与えるかもしれないが、奇妙な指標を出してみよう。それはヤクザが選ぶものがナンバーワンなのだというものである。ヤクザという職業の人は男を張るのが仕事なのでカッコ悪いことはできない。したがって持ち物や服装にはこだわる。ヤクザがルイヴィトンの鞄を持てば、それが鞄の世界ではトップなのだしパテックフィリップの時計をはめていれば、それが時計界の王者なのだ。二流品には目もくれない。
 私の子供時代といえば昭和の30年代だったが、ヤクザの親分は必ずアメ車に乗っていた。ベンツなんかに乗っている親分はいなかったのである。今では考えられないことだが、本当だったのだ。その頃はアメ車がトップで斷トツだった。「その頃のベンツなんて乗れた代物じゃなかったね」という徳大寺有恒氏の証言もある。ドイツもまたわが国と同じ敗戦国、とても金をかけた自動車を作れる状況ではなかったのである。
 我々が現在あたりまえのように享受している自動車の快適装備の殆どが最初に装着されたのがキャデラックだったという事実を知っている人が何人いるだろうか。カーエアコン、オートマッチクトランスミッション、パワーステアリング、等々。 ところが70年代、昭和でいうと40年代に入った頃から急速に伸長してきた日本や欧州の自動車産業に技術開発力で負けてしまう。エンジンひとつ例にあげても日本や欧州の車がOHC、DOHCを搭載してきているのにアメ車はOHVのものが殆どだった。
アメリカは国土も広大だし、人間のサイズもデカい。そのうえ国内に砂漠もあれば、グランドキャニオンのような場所もある。こんなところに暮らす人達がアコードのような乗用車に乗るわけがない。ホイールベースが3500mm以上もあるピックアップトラックでなくては使いものにならないのだ。いきおい物づくりが大雑把になってしまうのは物ごとのなりゆきからしてしかたがない。自動車に限って話をしても、エンジンルームや脚周りは修理の時に手が入り易い隙間だらけのものになる。物づくりのモジュールが大きいわけだから、全体としては巨大なサイズになるというわけだ。
 私は物づくりの姿勢として、こういったアメリカ流を悪いとは思わないし、それが現在の自動車産業の販売不振の原因だとも思わない。風土に根ざした製法なのだから悪くはない。現在は知らないが、BMWでさえ南アフリカ工場ではかつてキャブレター仕様の3シリーズを作っていたのだから。販売不振の原因はあくまでリスクの証券化という危険な手法を容認したブッシュ政権の経済政策の失敗にある。
 アメリカ人の作った代表的なものはコカコーラで、ドイツ人の作った典型例はアスピリンだとい

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自動車
2009/01/07




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