奥出雲ワイナリー 「食」の安全が脅かされている。産地偽装、日付改竄、危険物質混入と枚挙に暇がない。まさに「何でもあり」の様相を呈してきている。このあとまだどんな問題が噴出してくるか誰にもわからない。これでは食品の製造、流通に関係する者すべてが、全国民から疑われているような状況になっていると言っても過言ではないだろう。
こういった問題が発生する原因はどこにあるのか。私は世間一般ではあまり論議されない点を原因として挙げたい。それはひとつには日本人の「食」に対する異常なまでの潔癖症である。こういうことを言うと、潔癖症のどこが悪いのだと反論されそうな気がする。新鮮なもの、安全なものを求めようとする心根が「食」の安全を増進こそすれ、それを阻害することはない、というのが通念だろう。ところが食品の生産や流通に関わる人間から言わせると、これはかなり厄介な問題なのである。たとえばバターケーキの場合、焼いて2、3ケ月大丈夫なものもある。しかし賞味期限を3ケ月先にすると誰も買わないのだ。そこで賞味期限を1ケ月先にしておいて、張り替える。この件で摘発された業者が実際にいるが、私は気の毒でしかたがない。
なにしろ日本人は世界に冠たる割り箸を使う民族だ。これほどわが国民の潔癖症を指し示す事例はないだろう。スーパーの棚の奥からできるだけ日付けの先の牛乳を引っ張り出す。ヨーグルトやインスタントコーヒーの
封印の紙を半分だけ剥がして、全部は取り去らない。産地のブランド化にも熱心だ。讃岐うどん、札幌ラーメンに始まって、関サバ、魚沼産コシヒカリ、岩手県産白金豚。最近ではイベリコ豚なんていうものまで現れた。
こういうことを異常事態と考えない、また食品偽装の遠因になっていると気がつかないということにこそ問題があると私は考える。
産地についても、各食品にブランドがあり、フルーツトマトなら高知の奥谷地区の何々さんの育てたもので、棚の何段目のものという指定まであるのだから驚く。メロンの生産は手が込んでいる。土はよそから運んできたものを使い、しかも何年かに一回はすべて入れ換える。単一品種の連作による弊害を防ぐためだ。農薬や化学肥料の使いまくりで、まるで宝石であるかのように手塩にかけて育てる。その手のかけようがいかに凄いかを示す逸話がある。ある品評会で審査員がこう言ったというのだ。「鈴木さんちは何かあったかなあ」マスクメロンの網のかかり方が去年までと違うのを見とがめたのだ。傍から他の審査員が「お嫁さんの体調が悪いらしいですよ」「そうか」。しかし、これ程までに手をかけて育て、高価に取引きされるマスクメロンが本場イランで粗放的な育て方をしたものに味でかなわないというのだから皮肉な話ではないか。日付けの先の牛乳を求めてスーパーのトラックが深夜の乳業メーカーの駐車場に集
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