「源氏物語に見る 王朝貴族の失敗学29」  内大臣の頭痛の種とは?(1)

■娘を捜し出したはいいけれど

さて、光源氏が夕顔の娘・玉鬘に恋をして、中年の恋に悩んでいたころ、光源氏のライバルの内大臣(元頭中将)は、娘のことで悩んでいました。内大臣には宮中に上がっている弘徽殿女御と呼ばれる娘と、光源氏の息子・夕霧と恋仲になったのに、引き裂かれてしまった雲居雁という娘がいます。内大臣にとっては雲居雁の将来も気になるのですが、もう一人「もう、本当にどうしようか」と思うような娘がいました。

彼女のことを「近江の君」と呼びます。その名の通り、近江の国=いまの滋賀県で育ったお嬢さんです。彼女は内大臣が若いころ外で作った娘でした。光源氏同様、若いころは浮き名を流していた内大臣です。外腹の子の一人や二人はいてもおかしくありません。そんな娘がここへ来て登場したのは、玉鬘のせいです。

光源氏が、どこかで育っていた自分の娘を引き取ったと聞いて、うらやましく思い、内大臣は自分にもそんな娘がいないかと探したのでした。本当は玉鬘こそが自分の娘なのですが、内大臣はそんなこと、想像だにしません。で、息子たちなどを使い、方々探した結果、名乗りを上げたのが近江の田舎に住んでいた近江の君でした。この人が内大臣の頭痛の種でした。

何しろお育ちがお育ちなので、内大臣家の姫君として扱うにはどうにもお下品というわけです。だからといって、元の家に送り返すわけにもいきません。こんな娘、自分の娘ではない、と思いたいのですが、顔を見るとやっぱり自分に似ているような気がするし、それほどブスというわけでもありません。ほとほと困り抜いた内大臣は、この近江の君を弘徽殿女御の女房にしようか、と考えていました。(次回に続く)

※本稿は関西インターネットプレス(KIP)より転載い

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2009/01/18




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