07 断片化する武田 / 大典記念京都博覧会門柱(京都市)こいつはなにか。場所は京都の岡崎公園内、平安神宮前のグランド横である。いつのころからか気になっていたが、その後の調べで1915年に岡崎公園で開かれた「御大典記念京都博覧会」の会場ゲートの門柱であることが分かった。博覧会の写真帳が出版されており、それに写っていたのである(大典記念京都博覧会事務局編「大典記念京都博覧会写真帳」1915年)。この博覧会は武田五一設計のパビリオンが並んだ。なんだやっぱり武田じゃん。と思って自分のなかでは決着していたがのだが、改めて見直すと、いろいろおもしろいことが分かったので報告しておこう。とりあえず今回の謎は「この物体の作者はだれか?」ということでよろしく。
よく見てみよう。レンガの胴体の上に石組みの柱頭(ちゅうとう)が載っている。とてもよくできている。一番上の四角いところに電燈のポールが立っていた。石組みは入念に加工されておりただものではない。たとえば、軒(のき)のように突き出した水平部分の底に雨垂れを切るための溝が彫られている。これは様式建築の窓台のつくりかただ。雨水を切って壁面を保護するための処理である。この作者は建築の素養を有している。
特徴的なかまぼこ屋根のカーブが、門柱に優しい表情を与えている。この半円モチーフは、すぐ近くにある武田設計の府立図書館(1909年)の壁面モチーフと同じだ。かつて図書館前に立っていた掲示板にもこのモチーフが使われていた。増殖するモチーフ。この作者は、府立図書館に敬意を払っていることは間違いなかろう。
もうひとつ注目したいところは、胴体部分のレンガの模様張りだ。こうした模様張りは、ありそうであまりない。ここは矢羽根(やばね)になっている。弓矢の矢の羽根のところだ。京大時計台で見たように、矢羽根は武田の好むモチーフのひとつだ。やっぱり武田だぁ。とこうなる。
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