表も裏

僕の隣でカオルは眠っている。
彼女の寝顔をみて 僕は彼女とであった時のことを思い出した。

共通の友達を介して彼女とは知り合った。
合コンとかそういうのじゃなくて
僕の友達にバレエの先生がいて
彼女が ちょっと私の友達の発表会につきあわない?と誘ったからだ。
バレエなんて 僕の柄じゃないけど
暇だったので 行ってみた。

そこにカオルがいた。
彼女のバレエをみて 胸がときめいた。
踊りをみて ときめくなんて初めてだった。

発表会が終わって 僕の友達 彼女は玲子というのだけど
玲子が カオルの楽屋に行かない?というので
また僕は付き合うことにした。

舞台裏の白い廊下を歩く。
無機質なハイヒールと僕の靴音。
玲子はそれほど口数の多い女性でもないので
にこにこしながら 僕に 『良君 バレエよかった?』と
何気にたずねた。
『まあ よくわからないけど・・・でも 
あのカオルさんだっけ。パンフレットに書いてあったけど。彼女のダンスはよかったなあ』
『カオルって 自分の内面を映し出すのが上手いのよね。私も見習いたいくらいよ。
だから 女性も男性もファンが多いのよ』

西川カオル様
と書いた楽屋に 玲子は コンコンとドアを叩く。
はい どうぞ
と 乾いた声で返事があった。

少し重いドアを開けると カオルが 化粧を落としてるところだった。
片手にティッシュを巻いて こちらを振り向く。
『あ 玲子か。今日 どうもありがとう。あれ こちらの方は?』
カオルは半分油が残っててかてかしている顔で僕の顔をみた。

『私の友達で 高野良介君です。』
なんだか玲子がきちんと紹介してくれたので 僕は面食らって
おもわず 『どうも・・』と愛想のない返事をしてしまった。

『ちょっと待って 玲子。もうすぐ終わるから。終わったらさ、この裏のイタリアンでご飯食べない?』
結構 カオルさんってさばさばしてるんだなあと僕は会話の端々で思った。
彼女のダンスが 妙に妖艶でしっとりしているのでもっと色っぽい人かと想像していたのだけど。

玲子も玲子で 僕の予定など聞かずに
『いいよ。久しぶりにイタリアンいいね。』
『踊った後はさあ、のども渇くし ご飯の前に軽くいっぱいってところだよね』と
カオルさんは ウインクして僕にも笑いかけた。

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小説
2007/11/15




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