北岳(3,193m)2008年夏

昨年( 07年)は、Yが山登りを始めて十周年であった。Yはこれを記念して、一年前(06年)から初めて登った北岳を十年ぶりに再訪すると勝手に決めていた。ところがこっちは両神山(1,723m)を途中で敗退したばかりですっかり自信を失っていたから、三千メートルもの山岳登山など、とてもだめだと思い込んでいる。おまけに昨年はなんだか気力も萎えていて、動きまわるのがおっくうであった。しかし、一度こうと決めたら変更はきかない性格である。あまりブウブウいわれるので、どうにか近場で選んだ千メール前後の山を二つ(扇山と百蔵山)登ることでお茶を濁してしまった。低い山といっても楽ではないが、何しろアプローチが短いからあっけない。Yは「えっ、これだけ!」と明らかに不満顔であった。
あのスリル満点の岩場や雪渓歩き、ビバークまでした思い出深い北岳に比べれば、街の高台にある公園程度の山では釣り合いが取れないのである。それでますます「北岳十周年記念登山」に執念を燃やした。十一周年目になってしまうがかまうものか、来年こそは!とひとりで張り切っていた。しかし、僕としては四十九歳だった頃に比べれば、既に老人の域に達している。来年になれば体力が回復するなんていうことはさらさらない。そのときはまたなにかいいわけを考えようと思っていたら、その来年はあっという間にきてしまった。
四月から六月にかけて忙しい日々が続いたが、ほとんどパソコンの前に座りっぱなしの仕事だから運動不足も甚だしかった。たまに下北沢まで歩くくらいのことはするものの体力作りに役立つなんてことはまるでない。足のしびれもとれる気配がなかった。そういう状態でも、いよいよ日程が迫ってくると、いろんなことがあったせいか今年は逃げを打つ気にならなかった。断固やるべし。途中で心臓が破裂しようと脳内血管が破けようと這いつくばっても登ってやると密かに誓ったのである。

覚悟を決めたら、後は楽になった。二三日前から酒をひかえて睡眠も十分取るようにして、八月二十日早朝、車で芦安に向かった。
笹子峠から甲府盆地に入るのは久しぶりだったので、道を間違えたりして午前五時半頃、ようやく明るくなった芦安の集落に入った。夜叉神峠に向かう薄暗い道に若いガードマンが立っている。 少し下ったところにある駐車場に誘導しているのであった。こんな早朝からいるところを見ると、夜中も見張っていたのではなかろうか?ご苦労なことだ。数年前から南アルプススーパー林道は夜叉神峠から先、マイカー規制がしかれて入れなくなっている。芦安の駐車場に車を置いてバスか乗り合いタクシーで広河原までいくのである。突然、環境問題に目覚めた南アルプス市が新たな税源と雇用を確保できたことは実にご同慶の至りである。ここ旧芦安村はたった二百人の人口に数億円の地方交付税がつ

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山登り
2008/09/20




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