[ 初飛行で、初酔い ]昭和 32年 ( 1957年 ) 5月に初級練習機 T-34 に乗り、飛行訓練が始まりましたが、前席に私、後席に飛行教官が座りました。最初の日の操縦訓練が終了間近になると、教官が インターコム ( Intercom 、機内の通話装置 )で、「 ユーワンナ、プージー ?。」 と言いました。 「 プージー 」 の意味が分かりませんでしたが、 何かをするのだと思ったので、「 イエス・サー ( Yes, sir. ハイ )」 と返事をしました。
すると 「 ヒア・ウイゴー ( Here we go. サア やるぞ )」 と言ったかと思うと、急激に体が座席に押し付けられ、次には目の前が真っ暗になり、何も見えなくなりました。ブラックアウト ( Black-out ) と呼ばれる現象で、重力加速度が増大したため、体内の血液が下半身に滞留し、脳が貧血状態になったからでした。
やがて視力が回復し頭上に地面が見え始めましたが、これが生まれて初めて重力加速度 を経験した時のことでした。
後で分かりましたが、教官が最初に言ったのは 「 You want to Pull G ?.」 つまり 「 お前は重力加速度を体験したいか ?。 」 であり、学校英語で習った 「 Do you --- ?. 」 の文形は、日常会話ではあまり使わずに、肯定文の語尾を上げる発音で代用していました。
G ( ジー ) とは Gravity Force ( 重力 ) の頭文字のことで、重力の単位は通常 G で表します。
我々は日頃から万有引力 ( ばんゆういんりょく ) と地球の自転による遠心力との合力により、「 1 G 」 つまり毎秒秒 ( 秒の二乗 )当たり、約 9.8 メートル の重力を受けて暮らしていますが、 人が耐えられる加速度には個人差があり、一般には 「 約 4 G 」 といわれています。それを超えると一時的に意識を失うために、G が加えられると自動的に 下半身への血流を阻止する、 耐 G 服 ( Anti-G Suits )
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