「重力ピエロ」
(2009年・ROBOT=アスミック・エース/監督:森 淳一)
直木賞候補にもなった、伊坂幸太郎のベストセラー小説を、秀作「Laundry」の森淳一監督が映画化。
仙台市内で、壁や構築物への謎の落書き(グラフィティ・アート)と、放火事件が頻発する。大学院で遺伝子を研究する泉水(加瀬亮)と、落書き消しの仕事をしているその弟の春(岡田将生)は、この二つの間に関連性があること、さらに落書き文字が暗号になっている事に気付き、事件の解決に乗り出すが、その裏には24年前に彼らの家族に起きたある悲しい出来事が絡んでいた…
伊坂幸太郎の小説は、一風変わった、独特の味わいがある。デビュー作の「オーデュボンの祈り」からして、未来を予言するカカシが殺人事件の被害者になる―という、何とも奇妙な作品だし、「アヒルと鴨のコインロッカー」といい、「フィッシュストーリー」といい、どれも一筋縄では行かない、しかし一旦ハマれば中毒になってしまいそうな、ユーモアありミステリーありの、独自の世界観に満たされた不思議な世界が展開する。
そんな伊坂作品の中では、本作はわりと普通の(?)、家族をめぐるジンワリと心に響く、初期の代表作である。
原作を読んだ時は、“これは映画にしにくいな”と感じた。冒頭の「春が二階から落ちて来た」という、文学史に残りそうな名文からして、これは、小説として読んでこそ味わいのあるお話であり、映像化したら作品イメージが壊れてしまうのではないか、と危惧した。
しかし、さすがは「Laundry」で独自の味わい
(1/4) 次»
コメント(0)|コメントを書く
カテゴリー一覧
最近のコメント
新着記事をメールで通知
このブログを友達に教える