続・たまゆら(番外編4) きのうはね、むかし家の近くに住んでいらっしゃって、ちょくちょく町内会のお仕事でご一緒したことのある幾代さんが、こちらへいらっしゃったんです。お陰でお話相手が増えて、とても助かるわ。
で、きのうは久しぶりに娑婆のお話でふたりで盛り上がったってわけ。あちらではなんでも、騒音が大変なんですってね。幾代さんって、昔っから時代小説がお好きだったんですよ。で、その日も例によってテレビで、平岩弓枝原作の「御宿かわせみ」を観てたんですって。そうしたらね、宿の女主人のるいと東吾がいよいよいい関係になろうというところで、思わず膝を乗り出した途端なんですよ、奥さん。
家の前で突然大音量で「ガーガーガー、ご町内の皆様あ、おはようございまーす。リサイクルの『はなしま』でございまーす。えー、ご家庭でーご不要にい、なりましたあ、コンポ、ビデオ、バイクなどありましたら、お家の前までえ、参りますのでえ、よろしくお願いしまーす。なおー、コンポやヴィデオはー、こわれてえ、音のー、出なくなったものでもー、ケッコウでございまーす。」ってやるんです。
そんなに大きな音出したら、テレビが聞こえなくなるじゃないの、もうやめてよ。お願いだからあ。ねっ、そうでしょ。それからねえ、そのあと、あたし、お買い物に行ったのよー。駅の近くの野島屋さんに、そうしたらねえ、おくさま、こんどはねえ、右翼の街宣車なのよー。これもねえ、鼓膜が破けそうなほどの大きな音なの。ねえ、どうして警察っていつも知らん顔してるんでしょうねえ?可笑しいじゃなーい?
で、あたし云って上げたの。斉藤さん、そう幾代さんのことよ、ここではね、そういうものは一切ないから安心して。これからはね、ぜ~んぜん、その方の心配はいらないからね、って。
それから、いまアッチじゃあね、ブタインフルエンザとかで大騒ぎなんですってね。あたしはぜんぜん知らなかったんだけど、孫の翔太なんて大丈夫かしらねえ。いっそのこと、こっちへ来ちゃえばいいのに。だいたい若い人がなるって言うじゃない。息子はもう40だからいいけど、孫は心配だわ。日本でも感染者がもう400人近くになるって、斉藤さんの奥さんも云ってらしたけど。
こうして、あたしがぺチャクチャやってるけど、どうかしらね。でも、ここだけの話だけどねえ、作者の紋次郎だって、ほんとうはそろそろ種切れで困ってるんじゃないの。あたしのおしゃべりのお陰で、実は助かっていたりして…、フフフフ。もし、そうなら、あたし、笑っちゃうわ。 (つづく)
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