「33年」(66-2)岩瀬の御台・昌寿院のこと……再会![]()
何日かたった。六左衛門とシストとカタリナは今、昌寿院の家の中に座っている。侍女が、お茶を出している。昌寿院は、いない。外出中だったのだ。
侍女
「昌寿院さまは、もうそろそろお帰りになると思います。よく十一面観音のお社に祈りにいかれるのですけど、今日もそこに行ってらっしゃるのです。」
六左衛門もシストもカタリナもびっくりしている。シストが六左衛門にきく。
シスト
「六左衛門。ここに木彫りの観音像がおかれているけど、十一面観音って何だい。」
この木彫りの観音像は立像で、子どもはだいていない。
六左衛門
「この木ぼりの観音像は、シスト家の子安観音と同じで、マリアママだよ。十一面観音のことはよく知らないなあ。」
シストとカタリナは、まるで尼寺のようなこの家、そして仏だんそっくりにかざられた木彫りの観音像とか、はじめてなので、とても不思議な気がしている。
侍女
「あっ。昌寿院さまが帰られたようですわ。」
侍女が急いで部屋を出て玄関に向かう。
カタリナ
「どんな人かなあ。たのしみだわ。」
シスト
「うん。かわいそうな生い立ちのおひめさま……」
昌寿院が入ってきた。シストとカタリナの思い描いていた「おひめさま」ではない。墨染めの衣に白い頭きん。どこから見ても尼さんそのものだ。若々しい、美しい声がひびく。
昌寿院
「ああ、イエズス、マリアママありがとう! また、六左衛門に会えるなんて!」
昌寿院は、以前は「六左衛門さま」と言っていたが、今はもう「六左衛門」と言い、六左衛門も「昌寿院」と親しく呼んでいる。シストとカタリナは、昌寿院の姿に似合わないよろこびようと、そして子どものように「ああイエズス、マリアママ、ありがとう!」という言葉に目を丸くしている。
六左衛門
「昌寿院、突
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