東ドイツ紀行(1986年5月)・その6第 六 章
5月7日(水)晴れ、夕方雨、日中暑い
エルベの船旅
今日は気分をかえてエルベの船旅を楽しむことにした。
マイセン行きは出発時刻の関係で無理なので逆にエルベを遡ってみることにした。遊覧船はテラスの下からでている。乗船券は片道l時間半の船旅で70円である。定刻に岸を離れるとちょうどパリのバトームシューのように街の景色をみせながらいくつもの橋をゆっくりゆっくりくぐつていく。
やがて街を離れると両岸は緑が深くなってくる。緑の間には古いシャトーやマンションが見え隠れする。そしてエルベはゆっくりとながれている。あの戦火のさなかにもこんなに美しい流れだったのであろうか。川幅は徐々にせばまっていく。両岸は草が萌えておりホルスタインがねそべっている。ポプラの並木が川面に陰を落としている。
船はどこにでもあるような遊覧船だ。乗客は80%ほどの混みかた、チェコ、ブルガリアなど東欧の人が多いようだ。売店では絵はがきや写真も売っている。また、たのめばコーヒー、ビール、ジュースも持ってきてくれるしソーセージ、黒パンなどで軽食をとることもできる。マイクを使った説明などはない。到着のときだけアナウンスがある。
船員はここでもイレズミをしている。
風に吹かれてぼんやりと景色ながめていると、突然、女の子がきて袖をひっぱって何かいう。一目みて知的障害の子とわかった。「こんなところで何をしているの。早くこっちでみんなと遊びましょう」とでもいっている様子。
明らかに私を仲間のひとりと思っている。ついて行ってみると船尾のほうにこの子の仲間がたくさんいた。おそらく、障害児学級の遠足なのだろう。それにしても、私をみてすぐ同類とわかったのはさすがだ。一緒に遊んでいると先生が挨拶にきた。さすがドイツでこんな子供たちに対してもなかなか躾が厳しい。そうこうしているうちに下船予定のクラインチャッハヴィッツという船着場に着いた。
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