アイン・ランド代表作の邦訳刊行が象徴することアメリカでは、すでに60年にわたって大きな影響力を持ち続けているアイン・ランドの作品も、日本では、最近までまったくと言ってよいほど注目されず、翻訳さえされてきませんでした。その代表作が長大で、また高度に知的であるため、読解自体が困難だったことも、その原因の1つでしょう(※1)。しかし最大の原因は、個人の能力と自立を厳しく要求するその思想が、これまでの日本の精神風土では、受け入れられ得なかったことにあると考えられます(※2)。
しかしついに、2004年、この日本でも、ランドの代表作である『The Fountainhead(水源)』と『Atlas Shrugged(肩をすくめるアトラス)』が、相次いで翻訳され出版されました。
この国で半世紀以上にわたり、言葉の壁の向こうに放置され、顧みられることもなかった思想家に、この21世紀初頭、ようやく邦訳出版という形で光が当てられたのには、何らかの歴史的な必然性があったと見ることができます。
高岡英夫は、1995年の著書『意識のかたち―現代に甦る天才の秘密』で、明治維新以降退化の一途を辿ってきた日本人の本質的能力が、西暦2000年前後に最下点に達し、21世紀初頭には上昇への道を歩み出すと予言し(※3)、イチロー、武豊、羽生善治などの天才たちの登場を、その前兆として示唆しました(※4)。
私は、後世、国民全体の本質的能力の水準いかんという観点から、日本の歴史を100年単位で振り返ったとき、2004年におけるランド代表作の邦訳刊行は、1990年前後におけるイチロー、武豊、羽生善治などの天才たちの登場に、勝るとも劣らぬ象徴性を持つ出来事として、位置づけられると信じています。
すでに個人レベルでの本質力向上に目覚め始めた日本人は、向上した自己の本
(1/6) 次»
カテゴリー一覧
最近のコメント
新着記事をメールで通知
このブログを友達に教える