(4)ボルヘスとフーコーの巻前回、中国古代の動物分類について触れたので、
今回はそれに関連したことを述べてみます。
さて、神獣やモンスターに関して調べようとすると、
一度はたどりつくのが、
ホルヘ・ルイス・ボルへスの『幻獣辞典』。
ご存じの方も多いと思いますが、ボルヘスというのは、
アルゼンチンの詩人・作家・学者です。
1899年生まれ。博覧強記で有名で、
1955年56歳の時に、国立国会図書館長に任命され、
1986年87歳で亡くなっています。
実は、私が一番最初にボルヘスに出会ったのは、
ボルヘスの作品そのものではなくて、
思想家ミシェル・フーコーの著作の中でした。
フーコーは、『言葉と物』という著作の冒頭で、
ボルヘス著の『続・審理』
(原題は“Otras inquisiciones, 1937-1952”)
の一部を引用しながら、
歴史的研究における「エピステーメー」の
観点の必要性を説いてます。
これを読むと、フーコーはすごいと
感心してしまうのですが、まずは、
フーコーの思索の出発点となっている、
このボルヘスの著作を含む部分を引用してみましょう。
この書物[=フーコー『言葉と物』]の出生地はボルヘスのあるテクストのなかにある。[中略]そのテクストは、「シナのある百科事典」を引用しており、そこにはこう書かれている。
「動物は次のごとく分けられる。
(a)皇帝に属するもの
(b)香の匂いを放つもの
(c)飼いならされたもの
(d)乳呑み豚
(e)人魚
(f)お話に出てくるもの
(g)放し飼いの犬
(h)この分類自体に含まれているもの
(i)気違いのように騒ぐもの
(j)算えきれぬもの
(k)駱駝(らくだ)の毛のごく細の毛筆で描かれたもの
(l)その他
(m)いましがた壺をこわしたもの
(n)とおくから蝿のように見えるもの。」
(ミシェル・フーコー『言葉と物』渡辺一民・佐々木明訳、新潮社、1974年、p13。ただし、[]内筆者挿入。適宜改行を施した。)
さて、ボルヘスが書いている
「シナの百科事典」の中の動物分類の何が問題かというと、
現代の私たちなら絶対にしないような、
思わず首をかしげてしまうような分類をしている
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