浄土真宗大谷派と一元的思想

 浄土真宗大谷派、通称東本願寺派によって経営される大谷幼稚園の教諭から聞いたいい話をここで紹介しよう。大谷幼稚園では、節分の豆まきに際して、「鬼は外」と言って、鬼の背中に豆をぶつけることはない、と言っていた。それは、人間の内部にある鬼、つまり悪を正面から認識し、それを排除するのではなく、それと共存することを目指しているのであろう、と思われる。

 ここからは、推定である。今日、人間社会を一元的原理で統制しようとする思想が跋扈している。市場原理の貫徹、煙草を公共的圏から追放すること等、枚挙に暇がない。本ブログにおいても、原理としての市場原理を一定程度認めながら、その一元化については否定的見解を述べてきた。郵政民営化反対、小さな町村の大きな都市への合併反対、禁煙ではなく少しの副流煙を前提にする分煙等を主張してきた。

 この政治的見解と親鸞を教祖とする浄土真宗大谷派の宗教的見解は、ほぼ同一の思想的基盤に立っているように思われる。人間を一元的原理、「鬼は外、福は内」で解釈しないことである。鬼は人間の内にあり、それを排除することは滑稽であるという思想である。

 このような浄土真宗大谷派の幼稚園が知的障害児を受け入れていることは、この節分の思想からも当然であろう。知的障害児を排除することは、鬼を排除することにつながるからだ。 人間を一元的原理で解釈しないこと、これこそが今日の短絡的思想、養老孟司によって提唱された『馬鹿の壁』を乗り越える途であろう。

経済・政治・国際
2007/03/18




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