派遣社員と誓約書個人情報保護法、営業秘密の保護に関連して、派遣先会社が派遣社員から誓約書をとっていいのかと言う問題を取り上げてきましたが、2005年10月31日付日本経済新聞(夕刊)に、「法令遵守 戸惑う派遣社員」と題し、労働法に抵触するような秘密保持誓約書の提出に関するする記事が掲載されていました。
派遣先会社が派遣社員から、誓約書をとることについては、営業秘密管理指針(改訂版)において、
「派遣先企業と派遣従業者とが直接秘密保持契約を締結することが直ちに法律違反になるわけではないが、労働者派遣事業制度の趣旨からは、派遣先は、派遣従業者と直接秘密保持契約を締結するよりもむしろ、雇用主である派遣元事業主との間で秘密保持契約を締結し、派遣元事業主が派遣先に対し派遣従業者による秘密保持に関する責任を負うこととすることが望ましいものである。」
と追加されたことをとりあげました。日経の記事でも厚生労働省需給調整事業課のコメントとして
派遣先と派遣社員との関係が「雇用関係にならない誓約書なら労働法令に反しない」と紹介されています(これ自体は、上記営業秘密管理指針と同じ考えです)。
そして、記事ではさらに「雇用関係にならない」という意味は「①誓約を拒否した派遣社員を別の社員と入れ替える懲戒処分をとったり②情報漏れを起こせば解雇する(契約を打ち切る)など懲戒を規定した誓約書」をとることは、派遣元と派遣先の二重雇用状態になり、職業安定法44条(労働者供給事業の禁止)に抵触するおそれがあると指摘していて、誓約書の条項を検討する上で参考になります。
なお、同記事では、損害賠償規定に関し、中野麻美弁護士のコメントとして「派遣元に請求することはありえても、労働契約のない派遣社員に賠償を約束させるのは論理矛盾であり得ない。派遣社員が不法行為の賠償をする相手は派遣元だろう」と指摘されています。
確かに、契約に基づき損害賠償請求ができるのは、派遣元である派遣会社かもしれませんが、不法行為にもとづく損害賠償請求であれば、派遣社員に対しても請求できるはずで、このあたり趣旨が不明確な気がします。
日経の記事では、他にもいろいろふれられており興味深いのですが、派遣会社(派遣元)側でも、派遣社員から誓約書をとらせないように取り組みを行っているようであり、派遣会社側でもプライバシーマークの取得や、情報管理の重要性について個別の説明を行っていることが紹介されていますが、あるべき姿だろうと思います。
いずれにせよ、個人情報保護法だけが法律ではないので、注意が必要です(罰則という意味では、個人情報保護法は間接罰であるのに対し、職業安定法違反は直接罰なのでより厳しいのですが
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