【+6】境涯文章技術 +3 体験談希少度 +3 合計点【+6】
最後にこういう大作を読める至福。
これぞまさに「大トリ」と言って過言ではないでしょう。
ある程度の数の怪談を読んでいると、典型的なパターン怪談でなくても、「次はこうなるだろう」「こういうオチ(またはラスト)だろう」と考えるようになります。
創作で言えば、「これは夢オチ」「これは不条理系」「これはドッペルゲンガーもの」という風に。
ところが、この作品においては、このあたりでこうなるだろうという予想はことごとく裏切られました。それも、非常に意表をつく、しかもいい意味で。
最初は、仏間をちらっと見たときに女性の姿を見た、というところで終わるのだと思いました。→違った_| ̄|○
次に仏間で寝ることを命じられ、その夜、顔を切り刻まれたと思われる女性を見て、気を失う。というところで終わると思いました。→違った。_| ̄|○
ついには、いかに命じられたことを守らなかったとは言え、片目の視力を奪われてしまう。
おっそろしい話です。
これは、と感心したことをいくつか。
牡丹模様の着物と思ったのが、実は白い着物に血が飛び散ったものという描写。
なるほど。と思います。見間違えも、真相も、不自然さがない。
もしかすると、白い着物というのは白無垢だったのでしょうか? そう考えると、なおのこと怖くなる。
椀の中に、鯛の目玉が二つとも残っていた。
常には一つ食べていること、そして話者が片目を失明したこと、理不尽ではあるけれど、みごとに整合している。すばらしい。すばらしいけど、怖い。
今度は、ちょっとだけ気になったこと。
話の中の、最初の段落と最後の段落は、現在の咲子さん目線で語り、著者を目の前にして語っているように書かれていますね?
であれば、最初の段落も「さん」付けしたほうがいいんじゃないかな、と。
もうひとつ、膳の用意をするところで、「一対の箸」と表記されています。
これは、これでいいのでしょうか? 私もこの手の表記は不得手でよく知らないのですが、一膳の間違いということはないのでしょうか?
この手の「忌まわしい伝承」系の話はすっごく好きなので、どうしても高得点を付けてしまいます。
>それだけはお聞きにならない方がいいですよ――とやんわりと断られてしまった。
これはこの手の話の「お約束」ですが、よっぽどむごいことが過去にあったのだろうなと十分わかりますよね。
咲子さんが、出来事の理不尽さに怒ることもなく、ごく普通に受け入れている(らしい)こともまた、戦慄を誘います。
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