取締役会議事録の閲覧謄写(続)

 取締役会議事録には重要な業務執行の決定は必ず書く。定款記載事項,重要な財産の処分,重要な使用人の選任と解任,重要な組織の変更,社債の募集,取締役の職務執行が法令及び定款に適合することを確保するために必要な体制の整備などである。(会社法363条4項)法令遵守の体制をいかに整備したかを書かなければ,何も議論・整備していない,整備していないものと推定される。従前から整備されているから必要ない,とはいかない。その整備済みの記載も必要である。
 その他重要な事項に何が含まれるか,上記の法定事項に準じて考えよう。増資,M&Aなども入る。民事再生の申し立てをした会社の株主が,取立不能の債権が多額に上っていたことから株主総会で取締役に質問し,場合によっては株主代表訴訟を提起する準備のために,商法260条の4第6項前段,6項一号に基づき,取締役会議事録の閲覧謄写の許可を裁判所に求めた事件(東京地決平18.2.10判時1923号)がある。
裁判所は10年間の議事録の閲覧謄写は許可したが,10年を超える議事録については許可しなかった。まず,株主は閲覧謄写請求権を行使する必要性を説明しなければならない。そして,権利行使の対象とな得る特定の事実関係が存在し,閲覧謄写の結果によっては,権利行使することが一応想定できなければならない。尤も,株主はいつどのような取締役会があったか知り得ないから,議事録を特定する必要性は,閲覧謄写の範囲をその外の部分と区別できる程度で足りると述べた。前の会計帳簿とは何を言うのかと同じ理屈である。決定理由では次のような議論が展開されている。
 昭和56年の商法改正前,「取締役は..取締役会の議事録を本店又は支店に...備置くことを要す」(263条1項)「株主は...営業時間内何時にても前項の書類又は謄写を求むることを得」(2項)とあった。これだと議事録を本店と支店に永久に備え置くことになるので閲覧当社の要求に応じる負担が過重になる。そこで法改正により,1項から取締役会議事録が削除され,260条の4に3~5項を置き,取締役は第1項の議事録を10年間本店に備え置くこと(3項),株主は裁判所の許可を得て前項に掲げる議事録の閲覧又は謄写を求めることができること(4項前段),閲覧又は謄写により会社もしくは子会社に著しい損害を生じる虞があるときは裁判所は許可をなすことを得ず(5項)と定めた。つまり,支店での備置義務を廃止し,本店での備置も10年間に限った。そして,「備え置く」とは,単に会社が保存しているというのではなく,営業時間中いつでも裁判所の許可があれば閲覧謄写に応じ得る状態に置くことを意味し,「備置義務」は閲覧謄写請求の前提になると解された。そのため,4項の閲覧謄写の対象となる議事録とは,すべての議事録ではなく10年間本店

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Apr 24, 2009




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