対北朝鮮国連制裁に秘められた米中の戦略

 北朝鮮に対する国連安保理決議が採択された。決議は、高須国連大使が胸を張って言うほどには実質的な意味を持たない内容となった。北朝鮮に入港する船舶の検査も各国に要請するだけで、義務化はできなかった。もっとも義務化した場合に、北朝鮮船籍の船舶検査をする場合に日本は困った立場に置かれたことだろう。海上自衛隊や海上保安庁が公海上で船舶検査を行うには現行法では周辺事態法を摘要しなければならない。つまり「武力攻撃」が差し迫っているという前提条件が必要だ。それこそ、北朝鮮が言うように、船舶検査は事実上の戦争行為である。恐らくはどこの国もそうした切迫した事態を避けるために、北朝鮮船籍の船舶に対しては、核兵器関連物資など禁止品目を積載していると「信じるに足る合理的情報がある」と認定できないとの理由をつけて船舶検査を実施しないだろう。北朝鮮以外の船舶への検査を実施してお茶を濁すということになるのは目に見えている。
 核実験から17日も経ってやっと国連決議が採択されたこと自体、北朝鮮に対する制裁が本気でないことの証である。北の核兵器が脅威となっているのは日本だけである。だから米国も含めて中国もロシアもその他の安保理事国も北の制裁には熱心になれない。オバマにとって最優先の政策は国内経済の建て直しである。それには中国の協力が不可欠である。また核脅威についても盟邦イスラエルへの脅威となるイランの核開発、またがテロ組織に渡るおそれのあるパキスタンの核のほうが北朝鮮の核よりもはるかに米国にとっては深刻だ。核不拡散体制が事実上崩壊した今、北への核拡散を阻止して核不拡散体制を維持することよりもイランやテロ組織への個別の核拡散にどう対応するかが問題だ。
 だからか、米国はすでに北が核兵器保有国であることを前提にして外交を行っているようだ。ブッシュ政権の末期以来、アメリカは北朝鮮に対してはほぼ一貫して宥和政策を取り続けている。今回の制裁決議も表向き強硬姿勢を見せているが、実質的には中国の対北朝鮮宥和政策をいいわけに米国も宥和的姿勢に終始した。オバマ政権は米朝の二国間交渉開始の時機をうかがっているのであろう。そのきっかけは現在拘束されている二人のジャーナリストの解放交渉になるだろう。3ヶ月先か半年先かはわからないが、いずれは米朝二国間交渉が始まり、日本は置いてきぼりをくわされるのは必至だ。
 米朝交渉が始まるまでは、北朝鮮は核実験やミサイル発射で盛大に危機を煽ることだろう。もはや米朝直接交渉しか解決の方法はないとの国際世論を醸成するのである。そして最終的に米朝国交回復、平和条約締結によって朝鮮戦争の終戦を宣言するのである。中国を仲介人にすでに米朝の間ではこうしたシナリオができているのではないか。米朝そして中国の3カ国による三文芝居をこれからわれわれは見せつけられる

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Jun 14, 2009




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